[書評] AWS開発を《成功》させる技術
AWS認定トレーニング講師の平野@おんせん県おおいたです。
今日は先日発売されたこちらの書籍について紹介します。
この本を紹介する理由
著者の高岡さんは元AWSエバンジェリスト(2015-16年)です。私も当時JAWS-UGで大変お世話になりました。 型にはまらないタイプの人で、クラウドのエバンジェリストをやりながら「オンプレ大好き」と言ってたくらい自分に嘘をつけないような人です。
この高岡さん、現在はNTTデータ先端技術(株)に在籍されています。歴史ある(お堅いイメージの)大企業です(あくまでも個人の感想です)。
この本は、AWSをよく理解している高岡さんが、大企業のプロジェクトがAWSを活用する中で体験したことを元に、高岡流の視点でまとめられた本です。(と私は思ってますw)
特にAWSのプロジェクトで迷いのある方は、是非お読みください。高岡流辛口コメントが、迷いを払拭してくれるはずです。
目次とオススメポイント
第1章 クラウドスタンダードな時代のシステム開発
クラウドを生かすためには、より適した開発プロセスを採択する必要があります。 ただ、従来の方法を変えるのは勇気がいりますし、社内の様々な関係者の協力も必要です。 この章では、オンプレミスに適した開発方法とクラウドに適した方法の比較をしながら丁寧に説明されています。 この内容を元に、クラウドを生かす開発方法に舵をきってもらえたらと思います。
第2章 アーキテクティングの考え方
AWSは様々なサービスが提供され、それらをビルディングブロックとして組み合わせて構築していきます。 ただ、目的を持って組み合わせないと、残念な結果になります。 そのためには、アーキテクティングが重要です。 この章では、アーキテクティングの基本がまとめられています。 「アーキテクティング」という言葉、知ってるけど説明出来ないと思っている方は、必ずお読みください。
第3章 クラウドアーキテクティングとサービス選定
目的によって、AWSサービスの選定は変わってきます。 この章では目的ごとの選定例を具体的に説明しています。 この章を通じて、サービス選定のツボを読み解いてみてください。
第4章 非機能要件のノウハウ
このブログの読者の皆さんは、非機能要件の重要性はご存じだと思います。 ただその要件を決めるとなると、迷われる方も多いのではないでしょうか。 この章では、非機能要件を決めるノウハウが約50ページにわたって紹介されています。 是非参考にしてみてください。
第5章 クラウドアーキテクティングの実践例
ココでは、架空の要件を定義して、アーキテクティングを行う例を紹介しています。 この例を通じて、アーキテクティングのプロセスを読み解いてみてください。
第6章 マルチアカウントアーキテクチャ構築のハンズオン
この本唯一のハンズオンです。 Organizationを利用した、マルチアカウント構成を構築するハンズオンです。 組織運営を行うためのマルチアカウント構成を、手を動かして理解することが出来ます。 是非お試し下さい。
第7章 クラウドシステムを安定継続させる手法
クラウドを長期に利用していると、アップデート対応や、コストの最適化などを実施する必要があります。 これらの点を、この章では紹介しています。 クラウドを使い始める段階で、これらの点を長期計画に織り込んでおくことが重要だと思いますので、参考にして下さい。
第8章 クラウドシステムを正しく評価する観点
クラウドの投資対効果を評価する方法について説明しています。 経営視点の重要なポイントですので、是非おさえておいて下さい。
第9章 クラウドのメリットを生かした開発事例
最後は事例です。 目的別の活用例と、実際の公開事例が掲載されています。 皆さんのゴールのイメージ作りにお役立て下さい。
まとめ
AWSのサービスを紹介する書籍は多くありますが、実際の業務で活用するために、特にマネージャー/経営層の方の参考になる本はまだ少ないと思っています。その中で、この本は分かりやすくポイントを整理しているので、多くの方に読んでいただきたいと思います。